1.はじめに

わが国におけるニコチン依存症に対する薬物療法は、医療用医薬品および一般用医薬品ともに選択肢が広がってきた。1994年にニコチン製剤であるニコチンガムが保険薬価未収載の医療用医薬品として発売され、薬物療法が始まった。1999年には同じくニコチン製剤であるニコチンパッチが保険薬価未収載医療用医薬品として発売され、禁煙率が上昇した。
2001年にニコチンガムが一般用医薬品に切り替えられ、その後口腔内でのニコチンの刺激感を和らげ、柔らかさや甘さを増したりフレーバーを加えたりした製剤も発売されている。
2006年4月のニコチン依存症管理料新設に伴って一時混乱があったものの、6月にニコチンパッチが保険薬価収載された。2008年5月にはニコチンを含まない経口禁煙補助剤であるバレニクリンが保険薬価収載された医療用医薬品として発売され、禁煙率がさらに上昇している。その後も、一般用医薬品のニコチンパッチ、ニコチンガムも新たに発売された。現在わが国では禁煙治療において、一般用医薬品としてニコチンガムおよびニコチンパッチが、医療用医薬品としてはニコチンパッチとバレニクリンが選択できる。





 海外では、ニコチン製剤として鼻腔スプレー、インヘーラー、舌下錠、トローチ剤も使用されている。さらに、抗うつ薬であるブプロピオンが禁煙補助剤として広く使用されており、禁煙後のニコチン離脱症状を緩和する作用が明らかになっている。ニコチンパッチと併用すると、ニコチンパッチ単独に比べ禁煙のオッズ比が2.65倍高くなる(文献1)。




 以下に各薬剤について説明するが、詳細については薬品説明書または製薬会社のホームページ等を参照いただきたい。

引用文献
1)Silagy, C., Lancaster T., Stead L., et al.: The Cochrane Database of Systematic Reviews Issue 3:2004

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